[第1章:旅立ち−東へ−]



ボクは知っている限りを彩に話した。

彩はかなり頭はいい。

戸惑いながらも、すぐに状況を理解したようだった。

「じゃあ、私も勇君も同じなんだ…」

その顔からは、若干の恐怖が感じられた。

それも当然だ。

彩は昔から人間が苦手だった。

そんな苦手な人間に、自分がなっているのだ。

ボクは必死に、彼女が取り乱して壊れないように努めた。

そして、彼女が落ち着きを取り戻した所で、今朝の事を話した。

朝起きたら人間になっていた事。変なポケモンが現れた事。

そして、自分に課せられた、何らかの使命があること。

彩は静かに、頷きながら聞いていた。

「彩、お前も一緒に来ないか?」

冗談半分に彩を誘ってみる。

こういうことには首を突っ込まないタイプだから、断られると思っていた。

そんな予想は、意味を成さなかった。

彼女の返事は、意外にも「一緒に行こう」というものだった。

「行くって、お前大丈夫かよ?」

「大丈夫って何よ?勇君が誘ったんでしょ〜。」

「でも、危険な旅になるぞ。それでもいのか?」

「いいわよ。ここにいたって、何も変わらないわ。それに、ついていったら何か手伝えると思うの。」

彼女の目は真剣だった。

ボクは自分が誘った以上、止める事ができなかった。

こうして、晴れて(?)彩花が仲間になった。

「でも、、、何処へ行くの?」

きた。自分でもコレは知らない。

「ねぇ?…まさか、わからないの?」

きたよ。ピンポイントの質問。

「ぅ…うん。実はそうなんだ。あのわけの分からないやつは何も言わずに消えたから…ん?」

聞き覚えのある声が、何処からともなく聞こえる。

「おい!お前はだれだ?」

思わず叫んだ。

「ワタシノナハ、ツキカゲ。ソレ以上知ル必要ハナイ。」

「いや、知る必要はあるね。それに、こっちだけ知られているってのは虫が好かない。」

「フッ、面白イ奴ダ。ワタシハ、ツキカゲマホロ。ソレ以上ハ今ハ要ラナイ。」

ツキカゲと名乗るものは更に続けた。

「ワタシハ、アルオ方ノ御意志デ動イテイル。オ前、選バレタ。東ヘ行…ケ。」

そういうと、すぐにその声は消えた。

「勇君!ちょっと、聞いてる?大丈夫?」

彼か彼女か、まぁどちらでもいいのだが、その声の変わりに彩の声が聞こえてくる。

「あ?う、うん。何?」

「勇君大丈夫?いま、完全に目が死んでたよ?」

「そうか?…ところで、お前、声聞こえなかった?」

「ほよ?何のこと?勇君大丈夫?」

彩には聞こえなかったらしい。

しかし、その声の記憶はあまりにも鮮明で、夢や空耳とは思えない。

「よし…彩花、東だ。東に行くぞ!」

「な、何いきなり?」

「変な声が、東へ行けってさ。」

今のボクに与えられている情報は、コレだけだ。

彩花に準備を急がせ、ボクらは東の一番の都市、"トゥルクシティ"へ向かって出発した。






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