[第1章:旅立ち−発見−]



ボクは軽めに身支度を整えて街へ向かった。

街へ向かう道の途中に、幼馴染の家がある。

ボクはまず、其処に寄ろうと思った。

「あいつにだけは打ち明けていこう。驚くと思うが、きっと信じてくれる。」

そう思い、ボクは足を急いだ。

誰かに打ち明けないと、落ち着かない気がした。

幼馴染は、アゲハントの彩花。

可愛くて大人しい、静かなだが元気な女の子だ。

彼女の家に着いた。

いつもは早起きの彼女。

しかし、毎朝確実に水遣りをされていた花達には水は与えられておらず、

室内からは何の物音もしなかった。

「まだ寝てる?珍しいな。」

ボクが驚いたのは、そんなに無理はないと思った。

ボクが彼女と知り合って数年。

一度もボクより遅く起きた事は、それどころか、太陽より遅く起きた事はなかったのだ。

それなのに、もう今は10時を回っている。

天気も快晴。透き通るような碧い空が、ドコまでも広がっている。

「おーい、彩?まだ寝てるのか?」

返事はない。

女の子の寝ているかもしれない部屋に入るのは抵抗があったが、

なにやら嫌な予感がする。

「彩?入るぞ…?」

ボクは彩香の家へと入った。

中は時間が止まったように空気が淀んでいた。

「さ、、、彩!?」

「う…ゆ、勇くん?」

彼女は熱に魘されていた。

長い付き合いだだから、声でボクが分かったのだろう。

目を開けようと試みていたが、開ける事はできていなかった。

「おい、大丈夫か?」

額にはぐっしょりと汗が滲み、それとは反対に唇は青ざめていた。

次の瞬間、謎の光に彼女が包まれた。

そして、彼女の自慢だった触覚が消えている。

「!?…ま、まさか…そんな。」

ボクは、自分の目を疑った。

また変化が起こる。

今度は美しい羽。次は長い口吻が変形し、消えていく。

まばゆい光が綾香を包む。

「……!?」

ボクは思わず、目を瞑ってしまった。

………………………………

果たしてどれくらいの時間が経ったのだろう?

一瞬のようで果てしなく長かったようにも感じる。

「彩香…?」

さっきまで彩香が寝ていたベッドには、

多少の面影はあるものの、アゲハントではなく、一人の人間が寝ていた。

「お…おい!大丈夫か?」

返事はない。

まだベッドは汗で濡れている。

恐らく、寝ている女性は彼女は彩香なのだろう。

さっきまで魘されていたのが嘘のように、

今は静かに眠っている。

「彩香!おい、彩!!」

「う〜ん、あれぇ!?な、何で人間がいるのよ!」

「ぼ、ボクだよ!勇だよ!」

彼女の頭の上に"?マーク"が3,4個つくのが目に見えた。

「驚くのは無理ないな。でも、まだ信じてないだろ?」

彼女が静かに頷く。

「声は勇のなんだけどなぁ。」

彩香が静かに言った。

やはり信じてはいるが、確証がもてないのだろう。

なんせ、昨日までポケモンだったヤツが、

突然人間になっているのだから。

「じゃぁ、証拠を見せてやるよ。鏡見て来な。」

僕は珍しくまじめな顔でそういうと、

彼女は徐に立ち上がり、洗面所へと向かった。

―やはり先ほどまで魘されていたのが嘘のようだ。

汗もすっかり引き、ベッドの上の汗も大体が乾いていた。―

この様子から見ると、ボクも夜に魘されていた事が、容易に予想できた。

「きゃー!な、なによこれぇ!!」

不意に、驚きに満ちた叫び声が聞こえてきた。

〔彩香が叫ぶなんて珍しい。〕

ボクはそう思い、心の中では笑っていた。

次の瞬間、走って彩香が戻ってきた。

「ま、まさか、勇もこうなったの?」

やはり驚きに満ちた表情だ。

ボクは少しそんな表情を楽しみながら、静かに頷いた。






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